【これを読めば分かる】解説:香港のデモはなぜ起きているのか?【政治史を学んだ筆者が紐解く】

 

 

※このブログの趣旨と異なる部分もありますが、皆さんが考える一つのきっかけになればと思い書き上げました。

 

MEMO

報道などで皆さんご存知の通り、香港で連日デモが行われています。

なかなか詳しい報道がされていない日本ではありますが、日本にとっても他人事ではないことだと思います。

日本人の国際政治への関心の低さは、政治を学んできた人間からするととても悲しいことでもあります。

考えや主張に関しては個人の自由ですので、この考えが正しいと主張したいわけではありません。

この記事を読んで、少しでも香港で起こっている出来事を知って頂き、考える機会になってくれると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

香港デモについて

香港でデモに参加する人びと REUTERS/Thomas Peter

 

 

今回のデモの発端はなんなのでしょうか。

なぜ香港人はデモという形で抗議をするのでしょうか。

 

2019年香港デモのキーワード

香港「逃亡犯条例」デモ、行政長官が市民に謝罪 撤回の要求には応ぜずより借用

 

 

今回(2019年)のデモを理解する上で、キーワードとなるのは「逃亡犯条例の改正」です。

この改正案に対して、香港人は大きな声で「ノー」と主張しているわけです。

この改正案が成立されると、中国本土から要請のあった容疑者について本土に引き渡すことが簡単にできてしまいます。

 

ではなぜ、簡単に中国に引き渡すことに関して、ここまでの抵抗があるのでしょうか。

誤解を恐れずに噛み砕いて言うと「中国本土の司法システムに対して公正さを期待できない」からです。

要するに、中国本土の司法は共産党(中央政権)の影響を大きく受けるということです。

中国本土にとって厄介な存在である人物や団体に対して、極めて不公平な判断をする可能性がでてしまいます。

 

日本人であれば一度は聞いたことがあると思われる天安門事件ですが、中国本土では厳密な検閲によって情報が遮断されてしまいます。

中国本土で天安門事件とググってもページが真っ白になるという事実はあまりにも有名です。

この事実からも分かるように、中国当局は不都合な事実や真実を徹底的に隠しているのです。

そのような国で、容疑者は公正な判決を受けることが出来るでしょうか。

 

 

 

ここで一つの疑問が浮かび上がります。

 

香港市民がここまで反対をしている改正案を、なぜ香港議会が推し進めているのでしょうか。

次の章で香港議会について簡単に解説します。

 

 

 

香港特別行政区立法会

佔領三小時破壞殆盡 港立法會變犯罪現場より借用

 

 

香港特別行政区立法会(以下香港立法会)とは日本でいう国会にあたる場所です。

定められた手続きに従って、法律を作ったり、変更をしたり、廃止にしたりすることができます。

それでは、この香港立法会が制定する香港の決め事は、中国本土の決め事とどのような関係を持っているのでしょうか。

この仕組みを理解するには香港返還の時まで遡る必要があります。

 

香港が中国に返還された1997年の話です。

この時中国は「香港が返還されてから50年間は、香港の政治体制を変更しない」という一国二制度を確約しました。

それにより香港は、特別行政区が設置され高度な自治権を持つことになります。(香港特別行政区基本法)

高度な自治権とは、決まりごとを自分たちで決めて良い自由がしっかりとあるということです。

香港特別行政区基本法の法律のもと、香港立法会の存在が認められています。

 

 

この基本法の中で、香港立法会の選出方法は最終的に直接選挙に移行するとされています。

最終的な選出方法として、香港人が直接選ぶ形式に移行するということです。

香港人が直接選ぶことにより、民意をしっかりと反映した立法府になる確率もあがりますよね。

しかし現時点で、全ての議席を直接選挙によって選出する形式は取られていません。

 

香港立法会の議員選挙ですが、直接選挙で選ばれる議席と、職能団体を通した間接選挙で選ばれた議席から成り立っています。

そして、香港立法会の行政長官(トップ)は選挙委員会によって選出されています。

この選挙委員会とはどのようなメンバーで構成されるのでしょうか。

 

選挙委員会

 

選挙委員会は香港独自の選挙制度の一つです。

議員や職能団体や社会団体から選出された委員により構成されていて、定数は1200名です。

この職能団体や、社会団体というのは、香港住民による民主選挙によって選出されていません。

有権者、立候補資格ともごく一部に限定されています。

要するに、香港人の民意がまったく反映されていない選挙委員会が香港立法会のトップを選出しているわけです。

 

ではどこからの影響を強く受けているのでしょうか。

それはずばり「中国当局」です。

中国の最高権力機関で、立法府(法律をつくったりする場所)である全国人民代表大会の香港代表や、重要な政治的決定を行う中国政治協商会議の香港代表も選挙委員会のメンバーとして自動的に選任されています。

この二つの機関の香港代表というのは、実質的には中国当局が指名しています。

香港代表と言いつつ、実際には中国当局に限りなく近い人物が選ばれているということです。

香港人の民意が汲み取られない香港立法会はこのような要因から生まれているのです。

 

 

2017年の香港特別行政区行政長官選挙からは1人1票の「普通選挙」が導入される予定でした。

しかし2014年に全国人民代表大会常務委員(中国当局)は中国の意に沿わない人の立候補を排除する方針を決定します。

その決定に異を唱え発生したのが、2014年の香港デモです。(甘傘運動)

 

香港人はなぜデモで主張するのか

 

高度な自治を有しているはずの香港ですが、以上のように中国当局の干渉が度を超えているため、「半自治権を有するにすぎない」と思っている香港人が多いと言われています。

直接選挙への移行も中国本土から邪魔をされている中で、声を上げる方法は唯一つしかないわけです。

それがデモです。

 

日本の選挙制度にも一定の批判はありますが、国民の意思によって与党を決定することができます。

実際に政権交代も起きていますよね。

選挙によって民意を表すということが香港では現状できないのです。

 

まとめ

香港「逃亡犯条例」改正案~日本政府は抗議をするべきより借用

 

 

今回のデモの理由や、香港政治の仕組みを少しはご理解いただけたでしょうか。

 

大切なのは、日本人ひとりひとりが、個人の意見をしっかりと持つことだと思います。

 

香港に旅行で訪れた日本人がNHKのインタビューで、デモ隊に苦言を呈していました。

その考えを否定するつもりはありませんが、物事をある一方の側面でしか見れていないと強く感じました。

 

「複雑な事柄だし、香港に旅行する予定もないからいいか」となるのではなく、現実を直視し自分の意見を持つ努力から始めませんか?

 

 

地理的な話にはなりますが、香港の先には台湾があり、台湾の先には沖縄があります。

決して遠い国の出来事では無いということを知ってほしいです。

 

上の風刺画は台湾の方が書いたものだそうです。

台湾ではこれくらいの危機感を持っているそうです。

この風刺画をみて皆さんはどう感じますか?

 

 


 

 

この記事では、出来る限り私情を挟まずに書くことに注力しましたが、読み返してみると私の考えが強く反映されている場面があります。

この記事を読んで、反対の考えを持つ方もいらっしゃるでしょう。

どちらが正しいのかは分かりません。

私も今後考え方や見方が変わるかもしれません。

でもそれでいいと思っています。

大事なことは考え続けることだと思います。

 

何かご意見感想等ありましたら、コメント欄までお願い致します。

 

 

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